2024年のアルツハイマー協会国際会議(Alzheimer’s Association International Conference, AAIC)は、フィラデルフィアで開催され、世界中の研究者、医療専門家、政策立案者が集まってアルツハイマー病に関する最新の研究や治療法を共有する場となりました。この会議は、アルツハイマー病および認知症に関する最大規模の学術会議であり、今年も多くの画期的な発表が行われました。
主なトピックと発表
- ダウン症とアルツハイマー病の関連研究: ダウン症を持つ人々におけるアルツハイマー病(DS-AD)の進行に関する研究が中心的なテーマの一つとなりました。サンパウ記憶ユニット(バルセロナ)のJuan Fortea博士と、ワシントン大学(セントルイス)のBeau Ances博士が率いるパネルでは、DS-ADに関連するバイオマーカー、MRIイメージング、認知機能の変化、臨床試験の進行状況についての最新の知見が共有されました(LuMind IDSC Foundation)。
- 抗アミロイド薬に関するFDAの新たな見解: 重要な発表の一つとして、FDAのTeresa Buracchio博士が、ダウン症を持つアルツハイマー病患者が新しい抗アミロイド薬(LeqembiとKisunla)の処方対象に含まれることを公式に認めました。これは、ダウン症患者への新しい治療法の適用が明確に認められた初めてのケースとなり、非常に重要な政策変更です。ただし、これらの薬に関する安全性データがまだ不足しているため、慎重な使用が推奨されています(LuMind IDSC Foundation)。
- ALADDIN試験の発表: エリ・リリー社は、ダウン症を持つ成人を対象とした抗アミロイド薬ドナネマブの安全性と有効性を評価する臨床試験「ALADDIN」研究を発表しました。この研究は、ダウン症を持つ人々におけるアルツハイマー病治療の新たな可能性を探るための重要な一歩として位置づけられています(LuMind IDSC Foundation)。
意義と今後の展望
2024年のAAICは、アルツハイマー病に関する研究が新たな段階に入ったことを示す会議でした。特に、ダウン症を持つ人々に焦点を当てた議論や研究が行われたことは、これまであまり注目されてこなかったこの集団に対する理解と治療法の発展を促進する重要な機会となりました。これからの研究と政策の進展が、より多くの患者に有益な治療オプションを提供することが期待されます。